金属やチタン製の腕時計は、ベルトにスライド式・ネジ式・ピン式などの種類があり、それぞれ、ベルト調整の方法が異なります。
特にピン式ベルトの場合は、その中でもいくつかの種類があり、ベルト調整の手順も少し厄介なところがあります。
ここでは腕時計のベルト調整で行うピンの外し方や、ピンの種類を見極める方法、そして作業時の注意点についてご紹介していきます。
お気に入りの腕時計のベルトを快適に使っていくためにベルト調整を自分で行いたいと考えている方はぜひ参考にしてみてください。
腕時計のピン種類を見極める
ピン式のメタルバンドは、バンドに挿入されているピンとコマを取り外すことで長さを調整することができます。
バンドに採用されているピンには種類があり、どのタイプのピンが用いられているかによって作業手順などが異なります。
そのため、間違った手順を行ってしまうと、部品の破損・紛失を招き、ベルトを元に戻せなくなるリスクが伴うため、まずはどのピンが使われているのかを確認していきましょう。
バンドを留めるピンには主に4種類があり、それぞれに特徴がありますので把握しておきましょう。
ピンの種類 | 特徴 |
割りピン式 | ピンの先が二つに割れている |
Cリング式 | 細いピン二つとコマ内部にあるCリングで留めるタイプ |
丸ピン式 | 割りピンよりも太めの棒状 |
板ピン式 | 平たい板状になったピン |
メタルバンドで採用されているピンで一般的なのは「割りピン」と「Cリング」ですが、丸ピンや板ピンなど少し珍しいタイプのピンもあります。
それぞれに応じた手順でピンを外し、バンドのコマを抜いて長さを調整していくことになります。
ベルト調整(ピン式)に必要な工具
腕時計メタルバンドの調整には、以下のような工具が最低限必要となります。
- バンド固定台
- ピン外し
- ハンマー
- ペンチ
- ピンセット
一般家庭内に既にあるような物も多いですが、中にはピン外しなど腕時計のメンテナンスのためだけに作られた工具もあります。
自分でベルト調整を行う際には、予め上記の工具を準備してから行うようにしまよう。
腕時計のメンテナンスにかかる工具については、こちらの記事でも詳しく解説していますので参考にしてみてください。
ベルト調整用に使う工具の準備には概ね1,000~2,000円程度の費用が掛かります。
ただ、時計店や修理専門店にベルト調整を依頼した場合、その費用は案外安く、2,000円前後で行ってくれる所が多いようです。
ベルト調整の手順を覚える時間や工具を準備する費用などの費用対効果・コストパフォーマンスを考えるなら、時計店に依頼したほうが無難なのが正直なところ。
ですが、DIYを楽しみたい、愛着ある時計を自分で手入れしたいという方にはベルト調整を自分で行うのはオススメです。
腕時計ベルトのピンを外す方法
ピンの種類を見極め、ベルト調整に必要な工具の準備が出来たら、続いては実際にピンを外してベルトの調整に移っていきます。
腕時計のベルトを留めているピンの外し方について見ていきましょう。
ピンの各種類ごとに、外す手順を解説します。
割りピン式
- 固定台にベルトを装着する
- ピン外しをピン穴に当てる
- ハンマーでピン外しを叩きピンを押し出す
- ある程度ピンを押し出したらペンチで取り外す
- 外したいバンドコマ分だけこの工程を繰り返す
- コマを外したら逆の手順でベルトを繋げて完了
ポイントとしては、割りピンをハンマーで叩いて押し出す際、ピンの先が割れている方ではなく、平らな方を叩くようにする事。
割りピンは先が割れている方が大きめになっているため、ハンマーで叩いても押し出せない仕様です。先が割れていない方を叩くことでスムーズにピンを押し出すことができます。
ピンを抜く方向が分かりにくい場合、矢印の刻印があるかを確かめましょう。メタルバンドには、調整時に分かりやすいように示した矢印が刻印されている場合があります。矢印に沿ってピンを叩けば問題ありません。
なお、動画で手順を確認したいという方は、他サイトでありますがYoutubeチャンネル「正美堂時計店」で、割りピン式ステンレスベルトの調整方法を解説されていますのでぜひ参考にしてみてください。
参考:【正美堂時計店】腕時計 ステンレスベルトのコマ調整について
Cリング式
- 固定台にベルトを装着する
- バンドの矢印の方向を確認する
- 矢印の方向へピン外しを当てハンマーで叩く
- ピンが少し抜けたら後はペンチで引き抜く
- 続けてコマ内部に残っているCリングを取り外す
- コマを取り外したら、逆手順で切り離した部分を取り付けて完了
Cリング式のピンは割りピンと似ていますが、先に割れ目がないのが特徴です。割れピンと勘違いしないように確認してから行いましょう。
また、各コマに挿入されているCリングは単品のものや2個セットになっているものと、腕時計によって種類があるのも特徴的です。
メタルバンドの腕時計ではよく採用されている留め方の仕組みですのでぜひ覚えておいてください。
丸ピン式
- 丸ピンの位置を確認する
- 矢印の方向を下にしてピン外しを当てる
- ピン外しをハンマーで叩いて押し出す
- ある程度ピンを押し出したらペンチで引き抜く
- ピンが引き抜けたらコマを外す
- 引き離されたベルトを逆手順でピンを取り付けて完了
丸ピンの場合、ピンを再び付け直す時に一工夫が必要です。ベルトのコマを真っすぐに揃えるようにしましょう。
コマが真っすぐに揃えて固定することで太い丸ピンをスムーズに通すことができます。
板ピン式
- ベルトの裏側にある溝と矢印の刻印を確認
- 溝にピン外しまたはドライバーなどを差して矢印方向に押し出す
- 板ピンの頭部分が出てきたらペンチで引き抜く
- コマを外してベルト長さを調整
- 調整が済んだら外した所を繋げる
- 板ピンをハンマーで叩いて装着し直して完了
板ピンは薄く平たい形状をしているのが特徴です。
金属製とはいえ、薄いものは強力な力が加わることで曲がったり折れたりするリスクがあるため、ペンチで引き抜く際は慎重に行いましょう。
ベルト調整時(メタルバンド)の注意点
- 割りピンは切れ目がない方を叩いて押し出す
- 割りピンとCリングは似ているので間違いやすい
- 整理整頓した場所で行わないと部品紛失の恐れあり
- 無理に外そうとすると部品破損のリスクあり
割りピンとCリングは特徴が似ているため間違えやすいです。先の割れめがあるかをきちんと確認し、正しい方向からピンを押し出すようにしましょう。
割りピンの場合、間違った方向から押し出すとピン穴の破損や変形の原因になるため注意が必要です。
また、作業全般に言えることですが、作業するデスク・机は整理整頓された状態で行ってください。
小さく細かい部品を取り扱うため、部品紛失のリスクを避けるためにも整理された場所を利用しましょう。
さらに重要なのが、作業手順などがいまいち分からない状態で、無理に作業を進めるのは止めること。前述した通り、時計店に依頼するのがより確実であるからです。
そこまで費用も掛からないので、お気に入りの時計を壊さないためにも、無理して作業を進めないように注意してください。
まとめ
今回は、腕時計のメタルバンド調整におけるピン外しについて詳細を解説していきました。
最後に内容をまとめておきます。
- バンドに使われているピンの種類を見極めるのが先
- ピン外し・取り付けに必要な工具を揃えよう
- ピンの種類に応じた手順でピン外し・ベルト長さ調整を行う
- 部品破損のリスクを避けるため作業は慎重に、無理せず行う
- 部品の紛失を避けるため整理整頓されたデスクで行う
- 時計店に依頼するのが最も安心・安全な方法
お気に入りの腕時計の手入れを自分で行うのは、さらに愛着が出てくるので非常にオススメ。
ベルト調整を行えば、さらに時計が扱いやすく快適に過ごせることでしょう。
メタルバンドの調整を自分で行いたいという方は、ぜひ本記事で紹介した手順や注意点などを再度確認して試してみてください。