自動巻き腕時計のメンテナンス|オーバーホールのタイミングと費用

自動巻き腕時計のメンテナンス|オーバーホールのタイミングと費用

  

機械式腕時計のなかでも高精度なムーブメントを備えている自動巻き腕時計。

大事にしている自動巻き腕時計を長く使うために重要なのが定期的なメンテナンスです。

なかでも時計本体を分解して行う掃除・交換作業である「オーバーホール」は定期的に実施するのが推奨されているのですが、実施のタイミングや費用は誰しも気になるところ。

そもそも「オーバーホールを行う必要はあるのか?」といった根本的な疑問もあります。

そこで今回は機械式(自動巻き)腕時計のオーバーホールについて詳しく解説します。

初めて自動巻きの機械式腕時計を購入した方、オーバーホールの詳細を知りたい方はぜひご覧ください。

  

機械式腕時計の手巻きと自動巻きの違い

機械式腕時計には大きく分けて「手巻き式」と「自動巻き」の2種類があります。

機械式腕時計は巻き上げたゼンマイがほどける動力で針を動かす仕組み。

ゼンマイを手巻きで巻き上げるのが手巻き式、腕時計を身につけて利用するだけで自動的に巻き上げられるのが自動巻き式の腕時計です。

基本的にはどちらも機械式である点においては同じで、かかるメンテナンスの時期や費用については、同じと考えて問題ありません。

  

機械式腕時計をオーバーホールに出す意味

機械式腕時計を初めて手にした方の中には「そもそも時計をオーバーホールに出す意味はあるの?」と考える人も多いのではないでしょうか?

確かに一度のメンテナンスで多額の費用がかかるオーバーホールに対して、ためらってしまう方も少なくありません。

ですが、機械式腕時計は手巻き式・自動巻きに限らず定期的なオーバーホールは行うべきです。

理由は2つで「時計の寿命を延ばすため」そして「修理コストを下げるため」です。

機械式時計は、少なくても100以上の小さな部品がいくつも複雑にいくつも組み合わさって構成されています。

目には見えない内部の部品同士が絡み合うため、知らない間に部品が摩耗し擦り減っていきます。一度故障し動かなくなった時計を直すには非常に多額の修理代が発生することが多いため、故障する前に定期的な点検・部品交換などのメンテナンスが必要なのです。

部品交換やオイル注油などのメンテナンス(オーバーホール」)を時々行うことで、余計な修理代金を抑えるのと同時に、時計の寿命も伸ばすことができるのです。

  

オーバーホールに出すタイミングは3~5年に一度

機械式腕時計のオーバーホールは3~5年に一度のタイミングで依頼するのが目安です。

機械式腕時計にも様々な種類がありますが、概ねこのタイミングでオーバーホールに出すのが最適と考えてよいです。

時計に使われる部品などは年月を重ねるごとに劣化していきます。

  • 時計油(潤滑油)の劣化
  • ムーブメント部品の劣化
  • 防水ゴムパッキンの劣化

これら内部の劣化は時計の故障リスクを高めるため、定期的な点検・交換を行う必要があります。

部品・油の劣化が顕著になる前にメンテナンス(オーバーホール)に出すことが、時計寿命を延ばすポイントです。

  

部品・油などの劣化を点検するオーバーホール

オーバーホールでは本体を分解しての掃除に加え、部品交換や注油が行われます。

潤滑油は定期的に注油することで、部品同士の摩耗を防ぎ、部品の耐用年数を伸ばす効果があります。

裏蓋に取り付けられた防水ゴムパッキンも、経年劣化によって割れる可能性があるため、防水性能を維持するためには定期的な交換が必要です。

このように、単に掃除をするだけでなく点検や交換などの様々なメンテナンスが行われるのがオーバーホールの特徴です。

人が定期的な健康診断を受ける事と同じく、時計も「壊れる前に診てもらう」意識が重要なのです。

もちろん、故障と思われる症状が出た際はすぐさま診てもらうことも忘れずに。

機械式腕時計のメンテナンスに関する内容として、こちらの記事も合わせてご覧ください。

機械式腕時計のメンテナンスが必要な目安とタイミング

  

オーバーホール期間は2~6週間

なお、オーバーホール作業にはある程度の時間が必要です。

分解し、部品交換や場合によって大規模な修理が実施されることになると1ヶ月以上かかることも。

おおよその目安として2~6週間程度の期間、時計を預けることになると、予め承知しておきましょう。

預けている間には、予備の時計を準備するなどして対応していくのがよいです。

  

自動巻き腕時計オーバーホールの費用

自動巻き腕時計オーバーホールの費用
出典:Photo AC

続いては機械式腕時計(自動巻き)のオーバーホールに掛かる費用について確認していきます。

以下の通り、代表的な時計ブランドにおける正規メーカー依頼と修理専門店のオーバーホール料金を比較してみました。

ブランド名修理店依頼正規メーカー依頼
ロレックス33,000円~40,000~90,000円
オメガ38,500円~63,800~108,900円
タグ・ホイヤー27,500円~59,400~94,050円
セイコー11,000円~5,300~108,000円
シチズン11,000円~44,000円~
ハミルトン16,500円~24,200~44,000円
ブライトリング44,000円~92,400円~
(メンバー価格46,200円~)
iwc38,500円~56,500円~
カルティエ33,000円~52,000円~
グッチ27,500円~37,400円~
シャネル27,500円~49,500円~
ブルガリ27,500円~56,000円~

※正規メーカー料金は公式サイトを中心に調査した価格。
※修理専門店のオーバーホール料金は、時計修理で80年以上の実績を持つ老舗・五十君商店を参照。

五十君商店・オーバーホール料金

オーバーホール料金は同一メーカー内でも種類によって変動します。部品交換などが絡めば上記価格よりも高くなることもあるため、あくまで目安の数値となります。

全体的な傾向としては、修理専門店よりもメーカーに依頼するほうが費用は高くなっています。

  

オーバーホールはメーカーと修理店どちらがよい?

オーバーホールの依頼先には、時計メーカーのほか、修理専門店、近くの時計店など様々な選択肢がありますが、どこに依頼するのが良いのでしょうか?

これに関しては、ユーザーの予算や何を優先するかで決めるのが良いです。

  • 安心・安全を優先 →メーカーへ依頼
  • 安さを優先 →修理専門店へ依頼

安心・安全さを優先するのならメーカーに依頼するのが最もおすすめ。

料金は割高ですが、他のどの修理店よりも扱い方を熟知している正規メーカーなら確実な点検・交換作業をしてくれるため、安心して任せることができるのが魅力です。

対して安さ重視で行いたいなら広いブランドを扱う修理専門店に依頼するほうのがおすすめ。

不安要素としては、メーカー本家とは違い、該当するメーカーの部品交換で全く同じものを用意できない場合があること。それによりメンテナンス前と同じ状態に戻らない可能性があります。

事実、修理に出す前に時計の精度が1日+5秒以内だったのが、修理後は+10秒になったりなど、修理前の状態に100%戻らなかった事例もあります。

とはいえ、修理専門店でも「時計修理技能士」の資格を持ったプロが対応してくれることは間違いないので、メーカーと比べてメンテナンスの質が著しく落ちることは考えにくいです。

  

自分でオーバーホールすることはできる?

数万円といった費用が予想されるオーバーホールですから、維持費を安く仕上げるために「自分でオーバーホールしたい」と考える方もいらっしゃるかもしれません。

基本的には自分でオーバーホールを実施することはおすすめできません。

前述した通り、時計のオーバーホールは「時計修理技能士」と呼ばれる資格を持ったプロが何時間もの時間をかけて行う、知識と技術が必要な作業です。

決して誰でも簡単に行える作業ではないうえに、失敗した時に故障したり修理不可になったりするリスクを考えたら、素直にプロに依頼するのが無難です。

  

まとめ

今回は、自動巻きの機械式腕時計におけるオーバーホールの必要性や、実施タイミング・費用について解説していきました。

最後に内容をまとめておきましょう。

  • 故障のリスクを抑えるためにも定期的なオーバーホールは必要
  • オーバーホールに出すタイミングは3~5年に一度が目安
  • メンテナンスで2~6週間時計を預けるため、代替機の用意は忘れずに
  • オーバーホール料金はメーカーと修理店で料金が変わる
  • 安心・安全を優先するならメーカーへ依頼するのがおすすめ
  • 安さを求めるなら、修理専門店に依頼するのがお得
  • 自分でオーバーホールを実施するのは難しい & おすすめしない

オーバーホールは決して安いメンテナンスではありません。

しかし、時計にはお金だけでは語れない大切な思い出があるもの。

お気に入りの腕時計を大切に使っていきたいという方は、ぜひ定期的なオーバーホールで時計の寿命を長くしていきましょう。