腕時計の内部にはパッキンと呼ばれるゴム製の防水用部品が取り付けられています。
水やホコリから時計を守ってくれるパッキンですが、永久にその性能を保つことはできません。
基本的には消耗品であるパッキンは定期的な交換が必要なわけですが、その交換は自分の手でも行う事はできるのでしょうか?
今回は、腕時計の防水性能を保つパッキン交換が自分で出来るのか?などを中心に解説していきます。
お気に入りの腕時計を自分の手でメンテナンスしていきたいと考えている方はぜひ本記事を参考にしてください。
腕時計パッキンの役割を知ろう
腕時計、特に防水性能の高い物には、いくつかの場所にパッキンが取り付けられています。
パッキンは主に、時計の針を守るガラスケースの裏側、裏蓋、さらにはリューズ部分などに装着されます。
強い圧力によって部品の隙間を無くし、水やホコリなどが時計内部に侵入することを防ぐのがパッキンの役割となっています。
ダイバーズウォッチなどの防水時計には、数十メートルもの水深で使用できるようにするために、パッキンが活躍しています。
劣化するパッキンと防水性能
防水性能に大きな役割を果たしているゴムパッキンですが、素材はゴムであるため、時間の経過とともに劣化していきます。
ゴムは徐々に緩んでいき、時計の部品にある隙間も開きます。すると水分や粉塵の侵入を許しやすくなるのです。
防水性能は時間経過とともに衰えていくため、定期的な交換が必要となってきます。
一般的には2~3年に一度のタイミングで、電池交換(クォーツ式時計)も含めてゴムパッキンの交換をするのが良いとされています。
腕時計のパッキン交換は自分でも出来るの?
定期的な交換が必要なゴムパッキンですが、交換作業は自分の手で行うことが出来るのでしょうか?
答えはYes。腕時計の交換用パッキンは個人でも手に入れる事ができるため、自分で交換することは可能です。
もちろん、時計店や修理専門店へ預け、プロの目で点検や交換をしてもらうのが一番良いです。
ですが中にはお気に入りの腕時計を自分の手でメンテナンスしたいと考える方も少なくありません。
交換費用をできるだけ安く済ませたいという考えを持つ方も多いでしょう。
愛用する腕時計のメンテナンスを自分で行いたいという方なら、パッキン交換を自分でチャレンジするのも良いでしょう。
交換用パッキンの種類と選び方・基準
交換用のパッキンを自分で用意する際には、その種類やサイズを把握するなどの選び方が重要となります。
続いてはパッキンの種類や選び方、そして選ぶ際の基準について解説していきます。
丸パッキンと平パッキン
腕時計のガラスケースや裏蓋に用いられるパッキンには主に2種類の形状があります。
丸型のパッキンと平型のパッキンです。
ゴムの形状が丸いものが丸パッキン、少し角ばった平らな物を平パッキンと呼びます。
あなたの腕時計も、どちらかのパッキンが採用されているはずなので、まずは自身の時計のケースや裏蓋を外して確認してみましょう。
サイズ(内径)を測る
パッキンの形状が把握できたら、続いてはパッキンの直径を測り、そのサイズを確認していきます。
腕時計にも様々な大きさがあるように、そのケースに用いられるパッキンにもサイズがあります。
腕時計のケース・裏蓋に合致するサイズのパッキンと交換する事で、高い防水性能を保つ事ができるのです。
サイズを把握するためには、ケース・裏蓋の内径(内側)を測ります。
外径(蓋の外側)ではなく内径を測る理由は、内径を基準にしないとサイズが大きくて合わない場合があるから。
「ノギス」と呼ばれる正確な長さを測る工具を用いて内径をしっかりと確認し、サイズに合ったパッキンを選びましょう。
ノギスはAmazonなどのネットショップを中心に、安いもので500円程度で購入可能。
交換用パッキンを購入する前に予め準備しておくと良いでしょう。
パッキンを選ぶ際の注意点
パッキン選びの際にはいくつか注意があります。
ここを知らずに進めてしまうと、パッキンのサイズが合わないなどのトラブルで余計な費用がかかる可能性もあります。
トラブルを避けるため、ぜひ本項を飛ばさずにチェックしてみてください。
異なるサイズのパッキンを使用すると危険
腕時計に使用されるパッキンには、厚み・サイズの違いがあり、時計ごとに異なります。
前述した通り、裏蓋ならば蓋の内径を測って合致するサイズのパッキンを選ぶわけですが、その際はサイズはジャストまたは少し小さめを選びましょう。
内径よりも大きなサイズを選んでしまうのはNGです。
内径サイズより大きいパッキンを使ってしまうと、隙間が生まれやすくなり、水分やホコリの侵入を許しやすくなります。
結果、高い防水・防塵性能が発揮できずに故障の原因となってしまいます。
どうしてもサイズが分からない場合は、適当にパッキンを選ぶのではなく、時計店に相談して適切なサイズのパッキンを選びましょう。
劣化したパッキンのサイズ測るのは参考にならない
パッキンのサイズを測る際は、必ず裏蓋・ケースの内径を用いて計測してください。
使い古したパッキンを測る方がいますがそれはNG。
劣化したパッキンは緩んで一回り大きくなってしまっている事が多く、正しいサイズを計測できません。
誤ってサイズの大きいパッキンを選んでしまうリスクもあるため、必ず裏蓋・ケースの内径を測りましょう。
定規で測るのは微妙~ノギスがおすすめ~
裏蓋・ケースの内径を測る際、定規を使う方がいますが、できれば専用の工具ノギスを用いるのが良いです。
定規はあくまでもアナログタイプであるため、目盛りを確認するのは目視に頼ることになり、ざっくりな判定になりがち。
デジタル表記で正確な長さを測ることができる「デジタルノギス」を準備するのがより確実な方法と言えます。
パッキンの料金と購入できる場所
交換用のパッキンを購入する際に気になるのがその価格。
少しニッチな品物はどこで販売されていて、いくらで購入できるのでしょうか?
調査したところ、Amazonや楽天などの大手ネットショップでなら容易に購入できることが分かりました。
価格も1,000円前後と安いため、準備するハードルも低くて手に入れやすいです。
100円ショップ・ホームセンターでは入手困難⁉︎
実店舗での販売について、100円ショップやホームセンターでの販売があるのかについても調査しました。
確認したところ、残念ながら100均・ホームセンターなどで販売されている所は無い・もしくは少ないと思われます。
100円ショップ代表格であるダイソーの公式オンラインショップ「ダイソーネットストア」で検索しましたが、残念ながら腕時計用のパッキンはラインナップに出てきませんでした。
同様にホームセンターの代表格「ケーヨーデイツー」が運営する通販「DCMネット」でも腕時計用パッキンを探すことはできませんでした。
ネットで取り扱いが無い商品を実店舗で置いているかは定かではありません。
パッキンの購入を検討する方は、Amazon・楽天・yahoo!オークションなどのネットショップで探すのが早いでしょう。
その他パッキン交換で準備するもの
交換用パッキンの他には、以下の物を準備すると作業がスムーズに行えます。
- ノギス
- ピンセット
- 裏蓋開閉用の工具(こじ開け・オープナー・精密ドライバーなど)
裏蓋は腕時計ごとに種類があり、それぞれに合った工具を用いて開閉することになります。
こじ開けタイプなら「こじ開け」という工具、スクリュー式なら3点支持オープナー、ネジ式なら精密ドライバーといった具合に工具を使用します。
そのため、パッキンを選ぶほかにも裏蓋の種類を確認し、種類に見合った裏蓋開閉の工具を準備することも必要となります。
まとめ
今回は、腕時計の防水性を保つために必要なパッキン交換について詳しく解説していきました。
最後に内容をまとめると以下の通りです。
- パッキンは水・ホコリから守る防水部品として重要
- 時間経過とともに劣化するため、数年に一度の交換がおすすめ
- パッキンを自分で交換する際は厚み・サイズを測って合致するパッキンを選ぶ
- サイズ計測の際はノギスを用いて、蓋の内径を測るのが良い
- パッキンはAmazon・楽天などネットショップ中心に1,000前後で購入可能
腕時計のパッキン交換は、時計店や修理専門店に依頼して行ってもらうのが無難な手段です。
ですが、費用の節約やDIYを楽しみたいといった方には、自分の手でパッキン交換を行うのは良いことです。
自分でパッキン交換を行いたいという方は、ぜひ本記事を参考にチャレンジしてみてください。