腕時計のメンテナンスとして定期的に行うのが良いとされているオーバーホールですが、
「どのくらいの頻度で行えばよいの?」という疑問を持つ方が多いです。
今回は腕時計のメンテナンスであるオーバーホールはどのくらいの頻度で実施するのが良いか?について解説するほか、早急なメンテナンスが必要なシーンや危険察知方法についてご紹介していきます。
大切な腕時計を長く使っていきたい方はぜひチェックしてみてください。
腕時計を長持ちさせるために必須なオーバーホール
機械式やクォーツ式のアナログ時計では定期的なオーバーホールが推奨されていますが、一度に数万円などの費用が掛かることもあります。
「そこまでお金をかけてメンテナンスする必要があるの?」という疑問を持つ方も少なくありません。
ですが、お気に入りの腕時計を長く愛用していくにはオーバーホールは必須です。
見えないところで劣化する腕時計
あまりに身近な存在であるため忘れがちですが、腕時計は多くの部品で構成されている精密機械です。
スマートフォンやパソコンなどと同じ精密機械であるため、年月を重ねるごとに劣化し、壊れやすい状態になっていきます。
部品の摩耗、潤滑油の酸化・凝固など、目に見えないムーブメント内部は時間経過と共に傷んでいくのです。
余計な出費を増やさないためにも定期的なメンテナンスが重要
オーバーホールを怠った事で早期の故障となった場合、通常以上の修理費用が掛かることも多く、最悪、修理不可となることもあります。
その際は新たに時計を購入しなければなりません。
余計な出費を増やさないためにも、壊れる前に定期的なメンテナンス(オーバーホール)を実施することは重要です。
お金には変えられない大切な時計を守るオーバーホール
本記事をご覧になっている方は少なくとも愛用の腕時計をより長く使っていきたいと思っていることでしょう。
大切な人から贈られたものや家族の形見など、大事に使っていきたい時計はお金には代えられない価値があります。
ある程度費用がかかるオーバーホールですが、腕時計を長持ちさせたい方はやはり定期的に実施するのがおすすめと言えます。
腕時計のオーバーホールをする頻度は?
続いては本題である「腕時計のオーバーホールを実施する頻度」について。
オーバーホールの頻度に関する気になる疑問をいくつか取り上げていきます。
オーバーホールを行うタイミングは?
オーバーホールを行うタイミングは機械式腕時計の場合3~5年に一度が良いとされています。
前述したように、アナログ腕時計はムーブメント部品の摩耗、防水用ゴムパッキンの劣化、潤滑油(時計油)の劣化などが起こります。
もちろん、10年使っても壊れない頑丈な時計もあります。
とはいえ大切な時計を長く使っていきたいのなら、見た目の異常はなくとも、5年以内のスパンでオーバーホールを実施するのが良いです。
機械式・クォーツ式の違いでオーバーホールの頻度は異なる?
機械式腕時計のオーバーホールでのオーバーホール頻度について先に解説しましたが、クォーツ式腕時計(電池式)などの種類によってオーバーホール頻度は異なるのでしょうか?
回答としては、クォーツ式でも概ね機械式腕時計のメンテナンス頻度と同じく3〜5年くらいで考えれば良いでしょう。
部品数が少ないクォーツ式腕時計なら、オーバーホールの頻度は長く見ても良いという意見もあります。
ですが、防水性能を司るパッキンの劣化や潤滑油の注油などは機械式腕時計と同じく定期的に行うべきであること、さらに機械式腕時計と違い電池交換(3〜4年)が必要なことを踏まえると、概ね3〜5年に一度のスパンで、電池交換も含めたオーバーホールを実施するのが理想的です。
メーカーによってオーバーホールするタイミングは違うの?
メーカーによっては推奨されるオーバーホールのタイミングが違います。
例えばロレックスの機械式時計ではほかと比べて長い「10年以内のオーバーホールを推奨」としています。
参考サイト:よくあるご質問|ロレックス
ただし、部品の劣化や時計油の凝固リスクなどを考えると、機械式腕時計の一般的なオーバーホール頻度としては前述したとおり3~5年に一度と考えておいて間違いはありません。
メーカーサイトを参照しつつ、時計の状態・金銭面などを考慮して、自分なりのベストなタイミングを決めるのが良いでしょう。
ほとんど使用していない腕時計でもオーバーホールは必要なの?
何年も未使用だった腕時計を再び使う場合でもオーバーホールは必要なのでしょうか?
答えはYes。長期間使っていない時計でも、オーバーホールを実施するのがおすすめです。
一番の理由は潤滑油(時計油)が凝固している可能性があるため。
ムーブメント内部に注油された潤滑油(時計油)は未使用で放置すると固まるリスクが上がります。
その状態で時計を使うと、部品同士の摩耗が激しくなり、早期の故障に繋がります。
何年も使っていなかった腕時計の再始動時は、先にオーバーホールを行い、点検・注油後に使っていくのがおすすめです。
こんな時はすぐメンテナンス|腕時計の異常を察知する方法
故障を未然に防ぐために数年に一度行うオーバーホールですが、時計に何らかの異常が見られた場合はそうはいきません。
故障の前兆となる症状を確認した時には、すぐさま専門家に診てもらいましょう。
腕時計の異常を察知するためには以下のような症状の有無を確認してください。
- 一日で1分~数分の日差が生じる
- 三針がぶつかり合う
- ゼンマイを巻いてもすぐ止まってしまう
- カレンダーの日付表示が変わらない
- リューズが硬くて時間を合わせられない
- 本体内部から異音がする
一日で1分~数分の日差が生じる
機械式腕時計によく現れる症状に一日での大幅な時間のズレ「日差(にっさ)」があります。
時計の動きは、姿勢差、気温・湿度差、ゼンマイの巻き上げ量などの影響により、一日で+−10秒程度の時間のズレが生じることがありますが、この挙動自体は異常ではありません。
しかし、一日で1分から数分ものズレが生じてしまう場合は故障の可能性があります。
針同士がぶつかる
時計の三針(短針・長針・秒針)はそれぞれ間隔が開けられていますが、稀に針同士が重なる際(12時00分など)に針同士がぶつかる事があります。
この場合、ムーブメント部品が外れていたり、正常に動いていない可能性が考えられます。
ゼンマイを巻いてもすぐ止まってしまう
ゼンマイを巻いて動かす機械式時計は、一度ゼンマイを巻き上げると通常40時間ほど作動します(パワーリザーブ)。
ですが、ゼンマイを満タンまで巻き上げても1日持たずに止まってしまう症状が出る事があります。
この場合、時計油が切れている、自動巻き式ムーブメントの異常などの可能性があります。
カレンダーの日付表示が変わらない
カレンダー表示が付いているタイプの時計の場合に、日付が変わらない症状は稀に現れます。
内部部品が外れていたり、潤滑油が不足してムーブメントが正常に動いていないなどの原因が考えられます。
リューズが硬くて時間を合わせられない
時刻を調整したりする際に使用するリューズが固くなって動かなくなる事があります。
内部部品が外れていたり、サビによる動作不良といった可能性があります。
本体内部から異音がする
秒針が動く音以外に、気になる異音が鳴ることも。
本体を振ったりすると、本体内部から「カラカラ」といった音が鳴る場合、内部部品が外れる・ズレるなどの症状が起きている可能性が考えられます。
オーバーホールの頻度まとめ
今回は、腕時計のオーバーホールを実施する頻度を中心に解説していきました。
最後に内容をまとめましょう。
- 腕時計を長持ちさせるためには定期的なオーバーホールが必須
- オーバーホールの頻度は3~5年に一度が良い
- 長期間未使用の腕時計を再び使い始める場合もでもオーバーホールは必要。
- 故障の疑いがあるときは頻度に関わらず、すぐに診てもらう
- 1日数分の誤差など、時計の異常をすばやく察知して壊れる前のメンテナンスを心掛ける
愛用の時計が壊れてしまっては、余計な費用がかかるら事があります。
特別な思い入れのある時計を長く使っていくためにも、定期的なオーバーホールは欠かず行っていきましょう。