竜頭の外し方が知りたいという方へ。
はじめに注意点として申し上げておくと、竜頭を取り外しは初心者・素人の手で行うことはおすすめできません。
「分解して内部を掃除したい」
「竜頭の調子が悪いのでどうなってるか見てみたい」
などなど竜頭を外したいと考えている方は様々な理由があるかと思いますが、手放しでおすすめできないのにも理由があるのです。
今回は、竜頭の取り外しをおすすめできない理由や注意点を確認したうえで、竜頭の外し方を解説していきます。
竜頭を外したいと考えている方、外し方を知りたいという方は、その前に一度、本記事に目を通してみてください。
竜頭を外す必要があるシーン
腕時計や懐中時計のねじを巻くためのつまみである竜頭(リューズ)。
腕時計の3時方向側面に付いているのが一般的で、ゼンマイ巻きや時刻合わせなどの操作に使用する重要な部分です。
重要なパーツである竜頭。これを取り外す場面には何があるでしょうか?
- 分解して掃除・点検を行う時
- クォーツ式時計の電池交換
- 竜頭自体の交換
- その他ガラス・部品の交換
竜頭を取り外す場面には上記のようなシーンが考えられます。
逆に言うと、このような専門的な作業を行う時以外、竜頭を取り外す機会はありません。
これら専門的な作業は、時計店や修理専門店にいる時計修理技師が行っていることです。
機械式腕時計で定期的に実施する時計の分解すなわちオーバーホールが、専門家に依頼するのが良いとされているのと同様、竜頭の取り外しも専門家に任せるのが妥当なのです。
時計内部の構造の理解や部品・工具の正しい扱い方を知らない初心者の方は、基本的にいじらない方が良いと言えるでしょう。
竜頭を外す前に知っておきたい注意点・リスク
竜頭を外す作業を初心者がやることはおすすめできない理由は、他にもあります。
それは、初心者が行うにはいくつかの注意点・リスクがあるから。
- 時計によって竜頭の外し方が異なる
- 部品の紛失・破損のリスクあり
時計によって竜頭の外し方が異なる
ムーブメントには竜頭を取り外すために必要な「オシドリ」と呼ばれる部品が付いています。
オシドリによって竜頭の芯が固定され、誤って抜けないようにする仕組みです。
一見、簡単な仕組みのようですが、実はこのオシドリは時計によって場所が異なるのが厄介なところ。
時計のムーブメントは様々な製造メーカーが作っていて、それぞれ部品の装着場所が異なるため、オシドリの位置も違うのです。
さらに、細かい部品がいくつも集まっているのがムーブメントであるため、素人が扱うと他の部品と間違えて取り外してしまう可能性も。
専門的な知識が必要となるため、覚えるには時間・労力が掛かり大変なのです。
部品の紛失・破損のリスクあり
前述したように、竜頭の取り外しの際に作業するムーブメントには多くの部品が複雑に取り付けられています。
無理に外そうとしてネジ穴を潰してしまったり、竜頭を強引に取り外そうとして曲がったりしてしまうなど故障のリスクがあります。
また、ムーブメントのネジや竜頭根元に付けられた防水パッキンなど個々の部品は非常に小さい物です。それらを万が一紛失してしまった場合、時計の正常な動作を再現できず、動かなくなってしまう可能性もあるのです。
以上のように、竜頭の取り外しには危険・リスクが伴う作業であるため、やはり時計店や修理専門店に任せるのが無難と言えます。
もちろん、普段から時計の分解を行っている職人の方や、分解の技術を磨くために練習したい方などは問題ないでしょう。
しかし、初心者・素人にとっては難しいうえに故障のリスクもあるためおすすめはできません。
基本的には専門店に依頼してやってもらうのが一番早くて安全と言えます。
竜頭の外し方・戻し方
それでも「自分で竜頭を取り外したい」という方のために、続いては竜頭の外し方・戻し方について解説していきます。
竜頭は表に出ている頭部分と、内部に挿入される巻き芯によって構成されています。
竜頭は主に「オシドリ」か「ネジ」によって固定されおり、それら固定を解くことで取り外しが可能になります。
竜頭を外す【オシドリの場合】
オシドリによって竜頭が固定されている場合の外し方を確認します。
まずは裏蓋を開け、時計のムーブメントを裸の状態にしていきましょう。
- 裏蓋を外しムーブメントが見えるようにする
- オシドリの場所を確認する
- オシドリを押しながら竜頭を引き抜く
ムーブメントが見えたら続いてはオシドリの場所を探します。
一般的にはムーブメント内でも竜頭の差し込み口付近に設置されている場合が多いです。
竜頭を回したりすると、連動してオシドリ付近が動いて確認できる事もあります。
オシドリの位置が確認できたら、精密ドライバーなどの細い棒を使い、オシドリを軽く押し込みながら竜頭を引き抜いてください。
きちんとオシドリが押せていれば竜頭は簡単に引き抜くことができます。逆に竜頭が引っ掛かるような感覚がある場合、きちんとオシドリが押せていないか、間違った場所を押している可能性があるため再度確認してみてください。
竜頭を外す【ネジ式の場合】
竜頭がネジによって固定されている場合の外し方です。
ムーブメント内に竜頭を固定しているネジがあるのでまずはそれを探すところから始めていきます。
- 裏蓋を外しムーブメントが見えるようにする
- 竜頭を固定しているネジをドライバーで少しずつ緩める
- 竜頭を引き抜く
ネジは完全に取り外さないように気をつけましょう。
少しずつ緩めることでネジの破損・紛失の恐れを少なくすることができます。
また、竜頭を固定させてあるネジの他にも、ムーブメントには多数のネジが使用されています。
ムーブメントの種類によってネジの場所が異なりますが、概ね竜頭の差し込み口付近に付いてるものが、竜頭固定のネジである場合が多いので注目して見てみましょう。
竜頭を元に戻す
竜頭を元に戻す場合は、そのまま押し込めば問題ありません。
ただし、物によって癖がありうまく押し込めない事も。
その際は、軽く竜頭を回しながら差し込むと上手に入る場合が多いです。
竜頭の固定がネジ式の場合は、最後にネジを締め直すところまで忘れずに行ってください。
緩めたままだと、ネジが取れて紛失や故障の原因となるため注意が必要です。
竜頭の外し方まとめ
今回は、腕時計の重要な部品である竜頭の外し方について、その注意点やリスクなども踏まえて解説していきました。
本記事の内容をまとめると以下の通り。
- 竜頭の取り外しは自分でやるのはおすすめしない
- 理由は専門的な知識・技術が必要なため
- 失敗すると故障して使えなくなるリスクもある
- 竜頭を外すシーンは修理・点検などで分解する場合
- そのような専門的作業は時計店に依頼するのが基本
- どうしてもやりたい場合はリスクを承知の上で行う
- 竜頭はオシドリかネジ式によって外し方が異なるので注意
竜頭が故障すると、時刻やカレンダーの調整ができなくなるほか、機械式時計では命ともなるゼンマイ巻きもできなくなるなど、致命的なダメージとなります。
万が一故障した時も、交換対応などは時計店に依頼すればすぐに対応してもらえます。
より安全に時計を直したい場合は、無理せず店に頼むのが賢明と言えるでしょう。
また、故障を未然に防ぐためにも、日々の利用で水や磁気へ近づけない事に気をつけるなど、大事に扱っていきたいですね。