腕時計の電池切れやオーバーホールしての点検・清掃をする時などで必要になってくるのが裏蓋を開ける作業。
ですが、種類によっては手順が少し難しい場合があります。
特に難しいのが「スクリューバック式」の裏蓋。
専用の工具が必要になるうえ、少しコツがいる作業があります。
電池交換や分解清掃のために自分で裏蓋を開けようとしても、難しいスクリューバック式裏蓋を前に、電池交換を諦めてしまう方もいます。
今回は、腕時計の裏蓋、なかでもスクリューバック式裏蓋の開閉について解説していきます。
電池交換やオーバーホールなど、時計の裏蓋を自身の手で開けたい方、スクリューバック式裏蓋が上手く開けられず困っているという方はぜひ本記事をチェックしてみてください。
腕時計の裏蓋の種類
腕時計の裏蓋を開けると言っても、実は裏蓋にはいくつかの種類があり、タイプに応じた方法でないと開けることができません。
まずは腕時計の裏蓋の種類について把握していきましょう。
一般的に腕時計の裏蓋は以下3つのタイプに分けることができます。
- ネジ式
- こじ開け式(はめ込み型)
- スクリューバック式(ねじ込み式)
ネジ式
ネジ式は文字通り、裏蓋をネジで留めているタイプ。
小さなネジにも対応した「精密ドライバー」があれば簡単に裏蓋を開けることができます。
こじ開け式
こじ開け式の裏蓋にはネジなどの留め穴がなく、本体にはめ込むタイプ。
開けるには「こじ開け」と呼ばれる薄い金属製の板の工具を使い、隙間に差してテコの原理で開けていきます。
スクリューバック式
そして最も難しいのがスクリューバック式(ねじ込み式)の裏蓋。
ネジ穴は無く、蓋を回転させてきつく締める仕組みで、人の手では容易に開けることはできません。
開けるには専用の工具が必要で、なおかつ手順についても人によっては難しいと感じる方も少なくないようです。
今回は、このスクリューバック式裏蓋の開け方を中心に深掘りします。
スクリューバック式裏蓋のメリット・デメリット
腕時計の裏蓋にここまで種類があるのには理由があります。
特にスクリューバック式の裏蓋には多くのメリットがあり、ネジ式やこじ開け式よりも優秀な裏蓋とされています。
スクリューバック式裏蓋のメリット・デメリットは以下の通り。
スクリューバック式裏蓋のメリット
- ほかの裏蓋に比べて防水性能が高い
- 気密性も高く、汚れ・酸化のリスクも低い
- ネジ紛失などのリスクが無い
スクリューバック式裏蓋のデメリット
- 裏蓋を開けるのに専用の工具が必要
- ダイバーズウォッチなど時計が高価になる事が多い
上記の通り、性能面での優秀さが際立つスクリューバック式の裏蓋。
開けるときに手間がかかることや時計の価格が高い傾向にあるなどの多少のデメリットがあることを考慮しても、非常に魅力ある裏蓋であるのは間違いありません。
スクリューバック式裏蓋の開け方に必要な工具
キツく締められたスクリュータイプの裏蓋は、人の手では開けることは困難です。
スクリュー式裏蓋を開けるための工具「3点支持オープナー」を使用して開閉していきます。
中にはゴムボールを使った開け方もありますが、専用工具が無い時の代用方法です。基本的には3点オープナーを使用するのが一般的で確実な方法と言えるでしょう。
Amazonや楽天などのネットショップでは、1,000円前後で購入することができます。
そこまで高額な工具ではないため、スクリューバック式の腕時計の蓋を開ける際には揃えておきたい重要な工具です。
スクリューバック式裏蓋の開け方
続いては本題であるスクリューバック式裏蓋の開け方について解説します。
3点支持オープナーを使った手順となるため、まずは工具の準備からしていきましょう。
その後の手順は以下の通り。
- 裏蓋の切り欠き3点の形に合ったビットを選ぶ
- 形の合ったビットをオープナーに取り付ける
- オープナーの爪幅を裏蓋の切り欠きに合わせて幅調整する
- 横・縦の幅を合わせたら爪を切り欠きにセット
- オープナーを回転させて裏蓋を開ける
オープナーに取り付ける取り替え式ビットは、オープナーの付属品として数種類用意されている場合がほとんど。円形や四角形など、裏蓋の形に合うビットを選択してください。
裏蓋を開ける際のオープナーはネジと同じで反時計回りに回転させます。閉める際は逆で時計回りとなります。
オープナーで開ける際は腕時計をテーブルやデスクなど平らな場所に置いて行うのが基本。やりづらい方は片手で腕時計を持ちながらもう片方の手でオープナーを扱うのも良いでしょう。
裏蓋を開ける時の難所
スクリューバック式の裏蓋を開ける際に難しいポイントは、ビットの位置を調整するところ。
ビットと蓋の溝が嚙み合わなくて開けられない方が多いようです。
オープナーの爪幅を調整する際は始めに上側2点の横幅を合わせてセットしてから、下1点の縦幅を調整するという順番で行うと調整しやすいです。
順番を間違えずに行えば、スムーズに爪とビットを噛み合わせができるので試してみてください。
スクリューバック式裏蓋が開かない時の対処法
スクリューバック式の裏蓋の開けようとしても上手くいかない方が多数います。
続いては、スクリューバック裏蓋が上手く開けられない場合の対処法についても確認しておきます。
裏蓋が固くて開けられない
通常、腕時計の裏蓋を開ける機会はほとんど無いため、裏蓋が相当キツくなって開けられない場合があります。
そんな時には腕時計を固定台に取り付けてからオープナーを回してみましょう。
ネットショップを中心に、腕時計のメンテナンス用に作られた専用の固定台が安く販売されています。3点支持オープナーと固定台のセット販売されている物もあり金額的にもそこまで高くないため、準備してみてください。
腕時計の裏蓋に溝がない
自分で裏蓋を開けようと3点支持オープナーを買ってきたはまでは良いものの、いざ裏蓋を開けようとした際、裏蓋にセットするための溝が無くて開けられなかったというケースがあります。
前述した通り、腕時計の裏蓋には種類があり、溝やネジが一切ない裏蓋はおそらく「こじ開けタイプ」だと思われます。
こじ開け式とスクリューバック式の裏蓋は、見た目がよく似ているため勘違いしやすいので注意。
こじ開け式裏蓋の場合は「こじ開け」と呼ばれる、また別の工具が必要となるため、3点支持オープナーは使用しません。
工具を準備・購入する前に、自分の時計の裏蓋はどんなタイプかをしっかりと把握する事を忘れないようにしましょう。
裏蓋を工具なしで開ける方法は?
ゴムボールで開ける方法
裏蓋をゴムボールで開ける方法についても知りたいという方が一定数いるようです。
基本的にはオープナーを使って開ける方法が推奨されていますが、工具を持っていない場合の代用手順として、本記事でも触れておきます。
用いるのは子ども用の玩具としてよく利用される手のひらサイズのゴム製ボール。
ゴムボールをオープナーの代わりとして用います。
- 腕時計を固定台で固定する
- ゴムボールを裏蓋に強く押し付けて回す
ゴムボールを使った開け方は、家にある道具で手軽に行えるのが魅力です。
ただし、開ける際に強い力を使うこと、オープナーと比べて安定しないことから、勢い余って時計を落としてしまったりする可能性もあります。
実施する際は十分に注意して行ってください。
時計の裏蓋の開け方まとめ
今回は、スクリューバック式の裏蓋の開け方を中心に解説していきました。
最後に本記事の内容をまとめておきましょう。
- 腕時計の裏蓋にはいくつかの種類がある
- どのタイプの裏蓋かを事前に確認して準備する
- スクリューバック式の裏蓋には3点支持オープナーを使用する
- 裏蓋が固くて開けられない際は腕時計用の固定台を使用してみる
- 工具がない場合はゴムボールで代用できる場合もある
裏蓋の種類をしっかり把握し、適切な工具を用いて手順通りに行えば、初心者でもスムーズに裏蓋を開けることが可能です。
腕時計の電池交換や分解を自分の手で行いたいという方、スクリューバック式の裏蓋の開け方でお困りの方は、改めて本記事を参考にしてチャレンジしてみてください。