お気に入りの腕時計の電池が切れてしまった、、、。
そんな時に自分の力で電池交換にチャレンジする方も多いでしょう。
しかし、電池交換時には忘れてはいけない作業があります。それが「ショート」作業です。
ショート作業を忘れてしまった場合、最悪、電池交換後も時計が動かずに故障と勘違いしてしまうかもしれません。
今回は、腕時計の電池交換時に行う作業「ショート」について解説していきます。
「ショート」とはどんな作業か?、実施することで何が良いのか?、行わない事で起こりえる問題点などを詳しくご紹介し、作業手順についても解説します。
クォーツ式(電池式)の腕時計をお持ちの方、電池交換を自分でやってみたいと考えている方はぜひ本記事をチェックしてみてください。
電池交換時に行うショートとは?
電池交換時に実施する「ショート」とはどのような作業なのでしょうか?
電池が動力源となるクォーツ式時計は、交流電圧が掛かることにより一定の周期で規則的に振動し、時を刻む仕組みです。
腕時計の電池交換をした際には、AC回路(交流)を指定された方法でショートさせる事で腕時計を再起動させることが必要となります。これが腕時計のショート作業で、リセットとも呼ばれています。
リセット作業を行うことで新しい電池を腕時計に適用させることができます。
この作業は主にデジタル時計の電池交換に実施する場合が多く、アナログ時計では、タイムウォッチなどのクロノグラフ機能を持つタイプの腕時計で必要とされる場合があります。
デジタル時計の電池交換にはほとんどこのリセット作業が必要となるため、自分で行う際はピンセットなど、必要な道具を用意していきましょう。
電池交換時にリセット作業(ショート)が必要な理由
リセット作業(ショート)が必要だと分かっても、なぜ必要なのか?と疑問に感じる方も多いでしょう。
リセット作業を行わない際に起きる問題点についても触れておきましょう。
デジタル腕時計の電池交換を行った際に、リセットの作業を怠った場合は、画面にデジタルの時刻表示が出てこない事があります。
リセット作業が必要なアナログ時計においても、これを怠った場合には針が動かず止まったままになる可能性があります。
新しい電池に交換したのに時計が正常に動かないため、「電池の設置に間違いがあるのでは?」とか、「電池の種類が違ったのでは?」などと別の原因を考えてしまいます。
リセット作業を行わないと、上記のような勘違いをしてしまうため、余計な時間とお金のロスを生んでしまうのです。
そのため、クォーツ時計の電池交換時には忘れずにリセットを行う必要があるのです。
リセット作業は自分で出来る?メリット・デメリットを解説
デジタル時計の電池交換には必須となるリセット作業(ショート)ですが、自分でも簡単に行う事はできるのでしょうか?
結論から言うと、リセット作業を業者へ依頼せず自分で行うことは可能です。
ただし、電池交換やリセット作業を自分で行う事にはメリットもあればデメリットもあるので、それらを予め理解したうえで挑戦してみてください。
メリット
- 交換用電池と工具だけの費用で済むため経済的にお得
- 一度やり方を覚えれば複数の腕時計に流用できる
- 時計DIY好きにとっては、知識・技術が習得できて楽しい
デメリット
- 工具の準備や作業手順を理解するのに時間がかかる
- ネジなどの細かい部品を紛失する恐れがある
このようにクォーツ式腕時計の電池交換・リセット作業にはメリット・デメリットがあります。
電池交換の費用を安く済ませたい方や、所持する複数の腕時計の電池をまとめて交換したい方には、自分で電池交換・リセットを行うのはオススメです。
対して、時間・手間がかかる事や紛失による修理対応といったデメリットを大きなリスクと考える方は、時計店や修理専門店へ依頼するほうが安心・安全と言えます。
上記メリット・デメリットを十分に理解したうえで、電池交換を自分で行うかをしっかり判断しみましょう。
腕時計の電池交換・ショートの方法
続いては電池交換からショートまでの手順をご紹介していきます。
まずは工具の準備そして電池交換、ショートの順番で解説します。
電池交換で用意するもの・必要な工具
電池交換に必要な工具などについて確認していきます。
必要なものは以下の通り。
- 交換用の電池
- ピンセット
- 裏蓋を開ける工具(オープナー・こじ開け・精密ドライバー etc)
裏蓋を開けるための工具は、種類によって用意するものが異なります。
複数の溝に工具をはめ込んで開ける「スクリューバック(ねじ込み式)」の裏蓋になっている腕時計には「3点支持オープナー」を使います。
蓋の隙間に工具をあて、てこの原理で開ける「こじ開け式」の裏蓋には「こじ開け」という工具を使うことで開けることができます。
ネジで止められているタイプ(ネジ式)の裏蓋は、小さいタイプのネジにも対応できる精密ドライバーを用意しましょう。
電池交換手順
次に、電池式(クォーツ)腕時計の電池交換についての一連の流れを解説します。
電池交換手順は以下の通り。
- 裏蓋を開ける
- 古い電池を取り外す
- 新しい電池を取り付ける
- リセット作業を行う
- 時計が動き始めた事を確認する
- 裏蓋を閉めて完了
裏蓋は前述した通り、蓋の種類に応じた工具を使って開けていきますので、予め工具を準備しておきましょう。
裏蓋を開けた後、ピンセットで電池を持つ際は、必ず電池の側面を挟んで持つようにしてください。
電池の表面と裏面を挟むと、電流が流れてしまう恐れがあるため注意が必要です。
リセット作業の手順についてはこの後で詳しく解説します。
リセット作業手順
新しい電池を設置したら、続いてはリセット作業(ショート)を行っていきます。
具体的には電池のプラス端子(表側)とAC端子(オールクリア端子)をピンセットで触ることでショートさせることができます。
裏蓋を開け、新しい電池を設置したところから以下の手順を行います。
- AC端子を探す
- ピンセットで電池のプラス端子とAC端子を触れる
- 数秒間触れることでリセットが完了する
上記のように手順はシンプル。
AC端子の場所についても、デジタル腕時計のほとんどが裏蓋を開けると、「AC」の文字が電池付近の位置についているため、すぐに見つかるでしょう。
ピンセットは一般的な金属製のものでOKです。(ショート作業以外での使用には絶縁ピンセットを用いるのも良いです。)
ショートが完了すると、時計のデジタル表示が12:00にリセットされるので分かりやすいです。
なお、アナログの三針タイプの腕時計ではクロノグラフがリセットされる仕組みです。
最後に時計の時刻が進んでいることを確認したら、電池交換作業はすべて完了。新しい電池で腕時計を快適に使っていきましょう。
画像:スライドショー「CASIO G-SHOCK GW-300FJの二次電池交換」より引用
腕時計の電池交換まとめ
今回は腕時計の電池交換時に必要となる「ショート」作業について解説していきました。
最後に内容をまとめます。
- 電池交換時のショートとはデジタル表記をリセットするために必要な作業
- リセット作業が必要なのは主に電池式のデジタル腕時計
- リセットを行わないと新しい電池に交換しても動かない場合あり
- ショートさせる手順自体はシンプルで自分でも行うことが可能
- 自分で行う場合、店への依頼料金よりも安上がり
- ただし、工具準備や手順の理解に時間がかかるデメリットも
- 時間効率を考える方は時計店や修理専門店に依頼する方が早い
クォーツ腕時計の場合、電池交換が必要となる機会も多く訪れることでしょう。
そんな時に、ショート作業についての正しい知識を理解をしておくけば、電池交換をスムーズに終えることができます。
腕時計の電池交換を自分で行おうと考えている方は、ぜひ本記事を改めて参考にしてみてください。